スズキのアルトラパン(HE21S)のブレーキパッドの交換方法を紹介します。
本来は整備工場に依頼するのがベストだと思いますが、「ラパンのブレーキパッドを自分で交換したい」「工賃を節約したい」「めちゃくちゃ走るから自分で交換したい」という方は参考にしてください。
ちなみに、スズキの軽自動車だったら整備内容はほぼ同じだと思います。
Contents
ブレーキパッド交換 工賃の目安
ブレーキパッド交換の工賃は安いところで6000円くらい。両輪を交換するとなると有名店での相場がこんな感じです。
- オートバックス 工賃11000円+部品代金
- イエローハット 工賃6600円〜+部品代金
- ジェームス 13300円(部品込み・軽自動車の場合)
ブレーキパッド本体がスズキ純正の場合7000円くらいなので、消費税を含めて13000円〜18000円くらいが相場ですね。
一方、自分で交換する場合は工具やグリスが手元にあれば2000円程度で済みます。今回は社外品のブレーキパッドを使用したので1890円でした。
正直ブレーキ周りの整備のDIYは安全上おすすめできませんが、1万円以上の節約となると・・・ですね。
ブレーキパッドの寿命と交換時期
ブレーキパッドは一般的に新品の状態で10mmほどの厚さがあります。
寿命と交換時期がこちら。
寿命 | 厚さが2〜3mm程度になった時 |
交換時期 | 30,000km程度走行した時 |
ブレーキパッドが減ってくると、キーキーと鳴き出したり異音が発生します。ブレーキを踏んだ時の制動距離も長くなります。少しでもブレーキに違和感を感じたら点検・交換をしましょう。
ラパン ブレーキパッドと工具を用意する
今回用意した部品や工具がこちらです。
私のラパンの情報がこちら。
製造年 | 2006年(平成18年) |
形式 | CBA-HE21S |
フレームNO | HE21S-570000番台 |
ご自身の年式をもとに、対応品番を確認した上で注文してください。
製品名 | 対応純正品番 | |
ブレーキパッドNAO材 | 55810-72J00 | |
DIXCEL ブレーキローター | 55311-72J10 | |
STRAIGHT ディスクブレーキセパレーター | ピストン戻すもの | |
FMラバーグリス | ブレーキ用グリス |
- トルクレンチ (85Nmまで測れるもの)
- メガネレンチ 14mm/17mm
- ソケット 19mm
- ブレーキクリーナー
- グローブ
ブレーキパッドは社外品のよくわからないやつ(笑)ブレーキディスクは割と有名なDIXCELのもの。ディスクブレーキセパレーター(ブレーキピストンを戻すやつ)は「頑丈でちゃんとブレーキピストンが戻る」と評判のSTRAIGHT製のものを選びました。
ラパン ブレーキパッド交換の手順
ブレーキパッド交換の手順をまとめておきます。こんな感じですすめますよ。
- ジャッキアップ&ホイール外す
- ブレーキキャリパの14mmのボルトを抜く
- ブレーキパッド外す
- ブレーキクリーナーで清掃
- ブレーキフルードを少し抜く
- ピストンを戻す
- グリスを塗布したパッドを取り付ける
- ブレーキキャリパの14mmのボルトを取り付ける
- 最初に抜いたブレーキフルードをMAXまで戻す
ラパン ブレーキパッド交換方法の紹介
さて、実際にラパンのブレーキパッドを交換していきましょう。
1.ジャッキアップ&ホイール外す
ジャッキアップしてホイールを外します。
フロントをガレージジャッキであげて、サイドのこの四角い持ち手みたいな突起にウマ(木の板を重ねて木工用ボンドで止めたやつ)をかませて作業しました。片輪づつ作業しています。
ホイールを外すと、ブレーキキャリパ・ディスクローターが見えます。
2.ブレーキキャリパの14mmのボルトを抜く
ブレーキキャリパ裏・下側にあるブレーキキャリパスライドピンボルトをはずします。ここは14mmのボルトです。ブレーキパッド交換だけの場合はこのボルトを外して、キャリパを上げて、パッドを交換するだけです。
ブレーキキャリパが持ち上がるようになります。
ブレーキパッドとシムプレートが確認できました。純正だとシムプレートも用意されていますが、今回は社外品なので、シムプレートは再利用します。
ちなみにジャッキはARCAN(アルカン)のものです。重いけど安定感抜群。操作も簡単。ガンガン持ち上がるパワーが頼もしいです。評価も高いです。何年も使ってますが壊れてない。
すごくおすすめ。
ARCAN(アルカン)とは?米国・Power Station社のブランドです。初期不良率は0.1%という精度の高いジャッキを製造しています。
3.ブレーキパッドを外す
ブレーキパッドとシムプレートを外します。パッドは外側・内側に一枚ずつあります。外したら、シムプレートはブレーキクリーナーで清掃してください。
ブレーキパッドの厚みは2mmもない状態でした。まさに寿命を迎えています。一方、新品は10mmほどの厚み。全然違う。
今回はこのブレーキディスクも新品交換するので、キャリパ上部のボルトも外します。そうするとブレーキキャリパが外れます。
ブレーキパッドのみ交換の場合はこの後の作業(ブレーキキャリパ・キャリパベースを外す)は無視して大丈夫です。「5.ブレーキフルードを少し抜く」へ進んでください。
はい。ブレーキキャリパが外れました。ピストンの部分にはシムプレートがありますので、なくさないように注意です。
キャリパはこんなふうにS字フックでぶらさげておくと良いですよ。
つづいて、キャリパベースを外さないといけません。
黄色に着色されたボルトを2本外していきます。
ここは17mmのボルトです。
キャリパベースが外れました。
ブレーキローターは軽くこづくと外れました。やさしく扱ってください。
新品のブレーキローターをセットして
先ほどはずしたキャリパベースを戻し、17mmのボルトを2本締め付けます。
締め付けトルクは85Nmです。トルクレンチでしっかりと締め付けます。
つづいてキャリパを戻すのですが、ピストンがかなり出ている状態なので、押し戻す必要があります。
「ブレーキパッドが2mm以下しかなかったら、こんなに出てきちゃったんだね。無理をさせてごめん」って思いました。
5.ブレーキフルードを少し抜く
ピストンを戻すと、ブレーキフルードがマスターシリンダーから溢れてしまうことがあります。ブレーキフルードは塗装を侵したり、サビの原因になるので、少し抜いておく必要があります。
なんで?
ディスクブレーキの構造がこちらです。ピストンを戻せば逆流しちゃいます。大変分かりやすい図は、曙ブレーキさんを参考にさせていただきました。
6.ピストンを戻す
ブレーキキャリパの上のボルト(14mm)を仮止めして作業すると安定して作業できます。ブレーキパッドのみ交換の場合はすでにこの状態になっているはずです。
ディスクブレーキセパレーターを使ってピストンを戻します。ボルトを締め付けるだけで、ピストンを傷つけることなく戻すことができます。
チェーン切る道具とかもそうだけど、安いやつはほんとすぐ壊れる。このストレートのものは評判を見て購入しましたが、確かに頑丈でしっかりしていました。めでたし、めでたし。こいつも買って大正解です。ガレージライフがまたひとつ、楽しくなった。
ピストンがしっかり戻っている状態。これなら新品のブレーキパッド(厚みがある)を装着してもキャリパを被せることができます。
7.グリスを塗ったパッドを取り付ける
ブレーキパッドを取り付ける前に鳴き止めのグリスを塗ります。塗布するのは裏面と、端の部分です。他の部品と接触するところに塗り込むことで鳴きを防ぎます。
ここで塗っているのはFMラバーグリスというゴムを侵さないグリス。ブレーキ整備用の高性能グリスですが、たっぷり入っていてチューブが柔らかくてすごく使いやすい。これもおすすめ。
ピストン側のシムプレートにもグリスを塗布。
ブレーキパッドをガイドに合わせて取り付けます。
鳴き止めのシムプレートは表裏にグリスを塗布します。この油の膜が振動による鳴きを防止するみたいです。
内側のブレーキパッドも取り付けます。
8.ブレーキキャリパの14mmのボルトを締め付ける
ブレーキキャリパスライドピンボルトをトルクレンチで締め付けます。
締め付けトルクは26Nmです。
ブレーキパッド交換完了です。
ホイールを戻します。
ホイールナットの締め付けトルクは85Nmです。結構やさしめのトルクなので、足で踏んだりしないでトルクレンチを使ってください(笑)
9.最初に抜いたブレーキフルードをMAXまで戻す
ピストン戻す前に抜いた分のブレーキフルードを戻します。フルードの色が透明でわかりずらいですが、MAXの位置までもどしています。
安全のための最終チェック
以上でラパンのブレーキパッド交換は終了です。最後に安全のために確認してほしいことをまとめておきます。
- 各ボルトは適正トルクで締め付ける
- ブレーキフルードの量を最終確認する
- 走行前にブレーキを数回踏んで感触を確かめる(ピストンが出てブレーキが効く)
できれば、近場で走行してからもう一度フルードの量などを確認すると良いと思います。
しっかり整備してチェックして、安全で楽しいドライブをしましょう!お疲れ様でした。
今回用意した部品や工具
製品名 | 対応純正品番 | |
ブレーキパッドNAO材 | 55810-72J00 | |
DIXCEL ブレーキローター | 55311-72J10 | |
STRAIGHT ディスクブレーキセパレーター | ピストン戻すもの | |
FMラバーグリス | ブレーキ用グリス |