【金属の性質】キャンプに最適な金属について、数字で考えてみる。

焚き火でお湯を沸かす




キャンプ道具は金属でできているものが多いですよね。焚火台・クッカー・マグ・フライパンなどはすべて金属製です。

ということで、金属の性質(比熱・熱伝導率・融点)をもとに、キャンプに最適な金属をまとめてみました。

比熱とは?

1gの物質の温度を「摂氏1度」上げるのに必要な熱量のこと。つまり、比熱とは、物質1gあたりの熱容量であり、大きくなるほど、温まりにくく、冷めにくい性質をもっています。

比熱を想像するには陶器(比熱が大きい)と金属(比熱が小さい)を比較してみるとイメージできるかと思います。陶器は金属と比べると温まりにくいですが、冷めにくいですよね?それは陶器の方が比熱が高いからです。

比熱・熱伝導率・融点の一覧

じゃあ比熱の大きい金属は?ということでまとめてみました。キャンプで使われることの多い金属に陶器を加えた、「比熱・熱伝導率・融点の一覧」です。

比熱熱伝導率融点
0.43583.51536
ステンレス0.46261400
チタン0.519 21.91666
アルミ0.88236660
0.3794031084.5
陶器1.01.01000〜1400

表からわかることは、以下の順に「温まりにくく、冷めにくい」ということです。

陶器 > アルミ > チタン > ステンレス > 鉄 > 銅

ということで、熱伝導率だけでなく、比熱などにも注目して、キャンプに最適な道具を考えてみたいと思います。

アルミはやっぱり炊飯向き

焚き火 炊飯

炊飯にもとめられる性質は、熱電動率が高く(焦げない)、比熱が大きい(冷めない)ことです。なのでアルミが優秀ということになります。

熱伝導率だけで考えると銅(403)の方が1.7倍優れていますが、比熱が小さい(冷めやすい)ので蒸らしにはあまり適していないといえます。(キャンプでは火から降ろして蒸らすため)

アルミは熱の電動率(236)が高く、比熱(0.88)は鉄(0.435)の2倍以上あるので、冷めにくい素材です。つまり焦げやすいお米を炊き、蒸らしが必要な炊飯には、やはりアルミが最適なんですね!

より厚みのあるものなら尚更ですね。

オートキャンプなら厚みのある羽釜をセレクト。ソロキャンプ にはメスティンやアルミパーソナルクッカーが最高だと思います。

チタンはマグ向き

雪峰

マグにもとめられる性質は、熱電動率が低く(口元が熱くない)、比熱が大きく(冷めない)、錆びないことです。となるチタンが最強。

チタンは比熱(0.519)が高く、アルミ(0.88)の次に冷めにくいので、暖かいものを入れるには最適。「アルミが一番冷めにくいんだからアルミがいいのでは?」と考えることもできますが、アルミは熱伝導率が高すぎるため、唇をやけどしてしまいます。

ということで、マグには熱の電動率が低くて、冷めにくいチタンが最適といえるでしょう。

チタンのマグは金属臭がしないのが素敵です。海水につけておいても錆びないので、半永久的に使えるギアですね。

こちらは、チタン×ダブルウォールのとても美しいマグです。

焚火台はステンレスかチタン

焚火台にもとめられる性質は、耐久性が高く、錆びないことでしょう。となるとチタンかステンレスが適しています。

ちなみに、アルミの焚火台ってないですよね?その理由は溶けちゃうからです。(アルミの融点は660°C)実際に焚き火や炭火の中にアルミを突っ込んでおくと液状になってしまいます。

ちなみにチタン(比熱:0.519)はステンレス(比熱:0.46)の1.1倍冷めにくいので、厳密に比較するとチタンの方が効率的なのでしょうが、素材が高いので大きなものは作れない。だから小さな焚火台しか売っていないんですね。

スノーピークの焚火台で「焚火台 チタン Pro.」とかあったら絶対買うんですが・・

焚火台はいくつか持っていると便利です。オートキャンプには耐久性のあるもの。バックパッキングには薄くなるものか、コンパクトなものを揃えておくととても快適です。

焚き火用のフライパンは鉄

TURK

焚火用フライパンにもとめられる性質は、熱伝導率が高く(焦げ付かない)、比熱が大きく(冷めない)、耐久性があることでしょう。

鉄の比熱(0.435)はステンレス(0.46)とほぼ一緒ですが、熱の電動率(鉄:83.5/ステンレス:26)は3.2倍もあります。

さらに、鉄には炭素が含まれています。この炭素が油を吸収してくれるので油なじみがいいんです。(鋳造で作るスキレットだと、通常の鉄板の30倍も炭素が含まれているのだとか。)だから焦げ付きにくいんですね。

熱の電動率を考えればアルミ(236)や銅(403)も良いと考えられますが、アルミは油なじみが悪いので焦げ付きやすく、銅は厚みが薄いものしか販売されていないので、耐久性に多少難があります。(高火力で変形しやすい)

となると焦げ付きが少なく、比熱はそこそこで、耐久性の高い鉄製フライパンがもっとも使いやすいと考えられます。

タークは一枚板から作られた、ドイツ製のフライパンです。耐久性で右に出るものはいないでしょう。底面の厚みは2.5mmもあります。

まとめ

なんとなくわかっていた金属の性質も、数値を元に考えてみるとちょっとだけ楽しくなる気がします。キャンプ道具を使用するときの満足感が増すというか?納得して使えるというか。

今回、意外だったのがアルミが冷めにくいということ。熱電動率だけを考えるとあっという間に冷めそうですけどね。

やっぱり金属は楽しすぎる。














焚き火でお湯を沸かす