世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?を読みました。
知人にすすめられて読んでみたのですが、現代における企業経営の問題点をわかりやすく指摘した良書だと思いました。
それでは紹介していきましょう。
山口周さんとは?
著者の山口周さんは慶應義塾大学を卒業後、電通→戦略コンサル→人材開発コンサルというキャリアをたどっているかたです。
「経営におけるアートとサイエンスのリバランス」「組織の潜在的創造性の開発」「資本主義とビジネスの未来」などを主な研究領域とされています。
企業経営に美意識が欠如している
まずは現状の整理です。
東芝、電通、DeNAなどのコンプライアンス違反や、車業界でデータ改ざんなどの企業の不正がめだちますが、これらは「経営者の美意識の欠如」であると考えることができます。
世界のエリートは美意識を鍛えている
一方、Googleなどの「超先進的企業」のエリートは、積極的に「アート(美意識)の分野」に進出しはじめているそうです。
事実として、近年MBA(経営学修士)への申込は減り、アートスクールや美術系大学などへのトレーニングの申込が増えているようです。
経営には美意識が必要
世界のエリートは美意識を鍛えている。それはなぜなのでしょうか?
本書ではこれからの経営に大切なものとして、以下の3つのバランスをとることが必要だと言及しています。
- サイエンス(データ・論理)
- クラフト(経験)
- アート(感性・美意識)
一番の問題はサイエンスへの過度な偏りです。サイエンス(データ)には説得力があり一見よさそうですが、導きだされる答えは画一的になってしまいます。
さらに、現在の世界は複雑すぎるので、サイエンスだけではもはや正しい意思決定ができなくなっているのです。(データの量が膨大すぎる・時間がかかりすぎる)
そこで大切なのが、サイエンスとアートのリバランス。
アート(美意識)を経営に取り入れるということです。
美意識とはなんなのか?
では、アート(美意識)とはなんなか?どう取り入れていけばよいのか?
本著では、以下のような3つの評価軸が大切だと主張しています。
- 真(真似できない本物であること)
- 善(正しいこと)
- 美(なにが美しいのか)
順番にみていきましょう。
「真」とは「本物であること」です。具体的には世界観やストーリーです。なぜApple製品が売れているのか?→世界観やストーリーに共感されているから。と考えるとわかりやすいと思います。
「善」とは「正しさ」を求めることです。利益追求のためにユーザーに犠牲(中毒になってしまい破綻してしまうなど)を払っていないか?この事業は倫理的に正しいのか?を問いかけることが必要です。
「美」とは「美しさ」を示すことです。同じ機能を持った製品でも「この製品を持っていればスマートである」という価値観を感じてもらえることが必要です。現代では機能だけでなくファッションとしてモノを買っているという現実があります。
まとめ
最後に本書のポイントをまとめたいと思います。
- 企業経営がサイエンスに偏ることは、現代には不向き
- 理由は世界が複雑すぎるから
- 製品の差別化ができない世の中だから
- アート(真・善・美)意識し、意思決定のバランスを正すことが大切
- 世界のエリートは美意識を鍛えはじめている
複雑すぎる現代だからこそ、サイエンスの限界を認識し、「直感や美意識というものにもう一度焦点を合わせてみるべき」という筆者の考えには激しく同意しました。
とても参考になる本だと思います。
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